「やあ、ペルリ。なんだか浮かない顔をしてるね。」
「そうなのヘミングバード、とっても悩んでいるの。
この間、母さんとお話したの。そしたら私は普通の子ではないんですって。」
「母さんとどんな話をしたんだい?」
「私は将来みんなの命をあずかるお医者さんになりたいと思ったの。
そしたら母さんは、
”お医者さんはとても大変な仕事だし、
この村の女の人でお医者さんになった人は誰もいない。
そんなことを考えるのは普通ぢゃない。”って言うの。
哲学者になるのもいいなって言ったら、
”そんなことやってる人を見たこともない。
頭がおかしくなったんぢゃないか。”って言うの。
私は音楽も好きだから、ギターを習いたいって言ったの。
そしたら
”そんなの不良のすることだから普通ぢゃない。”って言うの。
外国語を話せるのっていいなと思ったから、
習いに行きたいって言ったの。
そしたら
”外国語は中学から習うものだから小学校の時に勉強するのは普通ぢゃない。
みんなから仲間はずれにされてしまうからダメだ。”って言うの。
こんあいだ算数のテストがあったの。
平均点よりちょっと悪かったんだけど、
母さんは
”普通よりできないのはとても心配だ。”って言うの。
だから塾へ行きなさいって。
でも私、塾へ行くよりもっともっとやりたいことがあるって言ったの。
でも母さんは
”みんな塾へ行っているのに、私だけ行かないなんて普通ぢゃない。”っていうの。」
「ねえ、ヘミングバード。普通っていったい何なの?」
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