人格論




コン コン!
ジョセフィンおばさんがやってきた。
いつもにこやかなジョセフィンおばさんの顔に、 今日は笑顔がなかった。

「ヘミングバード、ちょっと相談にのってほしいんだけど。」

「いいよ何だい。」

「それがとても困っているの。私のひとり娘のルーイイは知っているわね。」

「うん知ってるよ。心の優しいとっても良い娘だね。」

「あの娘がこのあいだボーイフレンドをつれてきたの。
同じ学校のハイデル君て言う子で、ルーイイの話だと 毎日何時間も机に向かっているとても勉強が好きな子なんですって。
私もとてもいい子だと思ったんだけど、やっぱりルーイイのことが心配だから 探偵のシャーベットに彼のことを調べてもらったの。」

「それでどうだったんだい。」

「それが大変なことが分かったの。 だからあなたのところに相談に来たのよ。
今、シャーベットがくれた調査報告書を見せるわね。」

調査報告書


ハイデル君の人格について以下の通り報告いたします。

証言1:近所のおばさん
「何だか暗い人だね、あいさつもろくにしないし。」

証言2:学校の先生
「とてもよく勉強して感心な子だ。」

証言3:ディスコ好きの同級生(女)
「ヤダ!ちっとも話が合わなくて最低。」

証言4:クラブの友人(男)
「世の中のことを真剣に考えている友人思いのすごくいいやつだよ。」

以上の調査からハイデル君は多重人格者と判断します。

探偵シャーベットホームズ



「いい子だと思ったのに。ハイデル君が多重人格者だったなんて。
ヘミングバード、どうしたらいいのかしら。」

「ジョセフィンおばさん、ひとつ質問してもいいかな。
10円玉はどんな形をしてると思う。」

「丸い形よ。でもそれが今度のことと何の関係があるの。」

「そこなんだよ。確かに10円玉は丸い形をしてるよね。 でも、ほらこうやって少し回転させると、ダ円形に見えないいかい。 そしてもう少し回転させると、今度は長方形に見えないかい。」

「そう見えるわ。」

「ジョセフィンおばさん、もう一度質問するよ。
10円玉はどんな形だい。」

「・・・丸くて、ダ円で、四角かしら。」

「10円玉って結構多重人格者だね。」

「フフフ、ほんとうにそうね。」

そう言ってにっこり笑うと、ジョセフィンおばさんは帰っていった。







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