時 間




コン!コン!コン!
カン!カン!カン!

木槌を打つ音で目を覚ますと、 窓の向こうでトムトムじいさんが大きな丸太木にノミを入れている姿が見えた。 かれは腕のいい門作り職人でとても素敵な彫刻をほどこした門を作る。
私の村の多くの門は彼の手によるものだ。 10年も前から注文していたがやっと今日から始まったようだ。

実はトムトムじいさんには、ソントムという双子の兄がいた。 彼もまたすばらしい門作り職人だった。
兄のソントムは、朝早くから夕方日が沈むまで仕事をした。 それに対して、トムトムは朝の涼しい時にちょっと仕事をし、 10時にはお茶を飲み、昼はゆっくり弁当を食べ昼寝をし、 夕方涼しくなるとまたちょっと仕事をする。
そんなわけで、ソントムは3カ月から半年で門を作りあげたのに、 トムトムの方は2年も3年もかかってしまう。
しかし可哀相なことに、ソントムが16件目の門を作っている時に、 夏の強い陽射しにあたって倒れ、 そのまま息を引き取ってしまった。
あれから60年も経って、 今トムトムじいさんは32件目の私の家の門を作っている。

ふと気づくと木槌の音がやんでいた。
窓の外を見ると、 トムトムじいさんはおいしそうにお茶を飲みたばこをくゆらせていた。







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