壁

「おや、ヘミングバード。壁に穴をあけて何をやってるんだい。」

「それが昨日、夢の中に神様が現れて言ったんだ。」
「”ヘミングバード、おまえが夢から醒めてこの家を出るとき、北から出れば、おまえの望んだことは出来ないが、裕福な生活を与えよう。南から出れば、望んだことは出来るが、貧しい生活を与えよう。”ってね。」

「それは重大な決断だね。」
「そうなんだ。でもよく考えてみると、僕にとって問題なのは、何を望か考えても無かった事なんだ。だから、それが決まるまで西から出ていようと思って、壁に穴をあけて扉を作っているところなんだ。」
インデックス案内ページ
All rights reserved by Mitsuo Yamamoto and Gift Box Co.,Ltd